Excelのピボットテーブルとは?一言でいうと「集計・分析ツール」
Excelでのデータ集計作業に、「関数をたくさん使って時間がかかる…」「毎月のレポート作成が面倒…」と感じていませんか?そんな悩みを一瞬で解決してくれるのが、今回ご紹介する「ピボットテーブル」です。
ピボットテーブルとは、一言でいえば「大量のデータリストを、マウス操作だけで瞬時に様々な角度から集計・分析できるExcelの超強力な機能」です。プログラミングや複雑な関数の知識は一切不要。まるでデータの“司令塔”のように、項目をドラッグ&ドロップするだけで、見たい切り口の集計表を自由自在に作成できます。
これまで何時間もかかっていた集計作業が、ピボットテーブルを使えばわずか数分で完了することも珍しくありません。データ分析の初心者にとって、これほど心強い味方はいないでしょう。この記事で基本からしっかり学び、あなたのExcelスキルを一段階レベルアップさせましょう。
ピボットテーブルで何ができるの?
ピボットテーブルの魅力は、その汎用性の高さにあります。具体的にどのようなことができるのか、いくつか例を見てみましょう。
- 売上データの分析: 月別・商品別・担当者別・店舗別の売上合計や平均、件数を瞬時に算出する。
- 顧客データの分析: 年齢層別・地域別の顧客数や購入金額を把握する。
- アンケート結果の集計: 質問項目ごとの回答数をクロス集計し、傾向を読み取る。
- 経費データの集計: 勘定科目別・部署別の経費をまとめ、予算管理に役立てる。
- 在庫データの管理: 商品カテゴリ別の在庫数や在庫金額を一覧化する。
このように、行と列に項目が並んだリスト形式のデータであれば、ほとんどのものがピボットテーブルで分析可能です。今まで関数を駆使して作成していたレポートの多くを、ピボットテーブルで代替できるのです。
なぜピボットテーブルを使うべき?3つの大きなメリット
なぜ多くのExcelユーザーがピボットテーブルを絶賛するのでしょうか。それには、他の集計方法にはない、3つの大きなメリットがあるからです。
- 圧倒的なスピードと効率化
最大のメリットは、そのスピードです。SUMIF関数やCOUNTIF関数を組み合わせる必要はありません。元データを選択し、いくつかの項目をドラッグするだけで、複雑な集計表が完成します。毎月の定型レポートであれば、一度作成すれば「更新」ボタン一つで最新のデータに反映できるため、業務時間を劇的に短縮できます。 - 集計ミスが起こらない安心感
手作業や複雑な関数での集計には、範囲指定のミスや数式のコピーミスといったヒューマンエラーがつきものです。ピボットテーブルは、元データを元にExcelが自動で計算を行うため、集計ミスが起こる心配がありません。これにより、データの正確性が担保され、安心して分析に集中できます。 - 分析の視点を自由自在に変更できる柔軟性
「商品別の売上を見ていたけど、担当者別の売上も気になるな…」と思ったことはありませんか?ピボットテーブルなら、項目のドラッグ&ドロップ一つで、簡単に行と列を入れ替え、分析の切り口を瞬時に変更できます。様々な角度からデータを眺めることで、これまで気づかなかった新たな発見やインサイトを得るきっかけになります。
ピボットテーブルの基本的な使い方【4つのエリアを理解しよう】
ピボットテーブルを使いこなす鍵は、「ピボットテーブルのフィールド」ウィンドウに表示される4つのエリアの役割を理解することです。ここさえ押さえれば、あとはパズルを組み立てるように直感的に操作できます。

(※上記はエリアの役割を説明するためのイメージ図です)
フィルタ (Filters)
作成した集計表全体に、絞り込み条件を設定するエリアです。例えば、ここに「店舗名」フィールドを配置すると、「A店のみ」「B店のみ」といった形で、特定の店舗のデータだけを表示させることができます。レポートを特定の条件で絞って見たい場合に活用します。
列 (Columns)
集計表の「横方向(列見出し)」に表示したい項目を配置するエリアです。例えば、「商品カテゴリ」をここに配置すると、表の列に「食品」「飲料」「雑貨」といった項目が並びます。
行 (Rows)
集計表の「縦方向(行見出し)」に表示したい項目を配置するエリアです。例えば、「担当者名」をここに配置すると、表の行に「田中」「鈴木」「佐藤」といった名前が並びます。
値 (Values)
実際に集計・計算したい数値データを配置するエリアです。通常は「合計」が集計されますが、「平均」「個数」「最大値」「最小値」などに変更することも可能です。例えば、「売上金額」をここに配置すると、行と列でクロスされた各セルの売上合計値が計算・表示されます。
この「行」「列」「値」の3つのエリアの組み合わせが、ピボットテーブルの基本形となります。
【実践】ピボットテーブルの作り方を5ステップで徹底解説
それでは、具体的な売上データを使って、ピボットテーブルの作成手順をステップ・バイ・ステップで見ていきましょう。今回は「担当者別・商品カテゴリ別の売上合計」を集計する表を作成します。
Step 1: 元になるデータ(リスト)を用意する
まず、集計の元となるデータリストを用意します。ピボットテーブルを正しく機能させるためには、以下のルールを守ってデータを作成することが非常に重要です。
- 1行目には項目名(ヘッダー)を必ず入力する。(例: 日付, 担当者, 商品カテゴリ, 売上金額)
- データリストの途中に、空白の行や列を含めない。
- セルは結合しない。(結合されている場合は解除する)
- 1つのセルには1つのデータのみを入力する。
このルールに沿った、以下のような売上データリストを準備したとします。
| 日付 | 担当者 | 商品カテゴリ | 売上金額 |
|---|---|---|---|
| 2023/4/1 | 田中 | 飲料 | 1,500 |
| 2023/4/2 | 鈴木 | 食品 | 3,200 |
| 2023/4/2 | 田中 | 雑貨 | 800 |
| 2023/4/3 | 佐藤 | 飲料 | 2,400 |
| 2023/4/4 | 鈴木 | 雑貨 | 1,200 |
| 2023/4/5 | 田中 | 食品 | 5,000 |
| … | … | … | … |
Step 2: データ範囲を選択してピボットテーブルを挿入
次に、ピボットテーブルを作成します。
- 作成したデータリスト内の、いずれかのセルを1つクリックします。(例: B2セル)
- Excelのリボンメニューから「挿入」タブをクリックします。
- 一番左にある「ピボットテーブル」をクリックします。
- 「ピボットテーブルの作成」ダイアログボックスが表示されます。データ範囲が自動で正しく認識されていることを確認します。(点線で囲まれます)
- ピボットテーブルを配置する場所を「新規ワークシート」または「既存のワークシート」から選択します。通常は「新規ワークシート」がおすすめです。
- 「OK」ボタンをクリックします。
すると、新しいシートが作成され、左側にピボットテーブルのレイアウトエリア、右側に「ピボットテーブルのフィールド」作業ウィンドウが表示されます。
Step 3: フィールドを各エリアにドラッグ&ドロップ
ここがピボットテーブルの最も楽しい部分です。右側のフィールドリストから、集計したい項目を下の4つのエリアにドラッグ&ドロップしていきます。
今回は「担当者別・商品カテゴリ別の売上合計」を作成するので、以下のように配置します。
- 「担当者」を行エリアにドラッグ&ドロップします。
- 「商品カテゴリ」を列エリアにドラッグ&ドロップします。
- 「売上金額」を値エリアにドラッグ&ドロップします。
これだけの操作で、シートの左側に以下のような集計表が自動で作成されます。
| 行ラベル | 飲料 | 食品 | 雑貨 | 総計 |
|---|---|---|---|---|
| 佐藤 | 2,400 | 2,400 | ||
| 鈴木 | 3,200 | 1,200 | 4,400 | |
| 田中 | 1,500 | 5,000 | 800 | 7,300 |
| 総計 | 3,900 | 8,200 | 2,000 | 14,100 |
瞬時にクロス集計が完了しました。関数を使う方法と比べて、いかに簡単で速いかお分かりいただけると思います。
Step 4: 集計方法を変更する(合計、平均、個数など)
値エリアの集計方法は、デフォルトでは「合計」になっていますが、これを「平均」や「個数」などに変更することも簡単です。
- 「値」エリアに配置した「合計 / 売上金額」をクリックします。
- 表示されたメニューから「値フィールドの設定」を選択します。
- 「値フィールドの設定」ダイアログボックスが開きます。
- 「計算の種類」タブで、集計したい方法(例: 平均, 個数, 最大値, 最小値など)を選択します。
- 「OK」ボタンをクリックします。
例えば「個数」に変更すれば、売上件数の集計表に早変わりします。このように、目的に応じて柔軟に集計方法を切り替えられるのもピボットテーブルの強みです。
Step 5: 見やすいようにデザインを整える
作成したピボットテーブルは、デザイン機能を使って簡単に見栄えを良くすることができます。
- ピボットテーブル内のいずれかのセルをクリックします。
- リボンメニューに「ピボットテーブル分析」と「デザイン」というタブが表示されるので、「デザイン」タブをクリックします。
- 「ピボットテーブル スタイル」の中から、好みのデザインを選択するだけで、表に色や罫線が適用されます。
- また、数値に桁区切りカンマを付けたい場合は、値フィールドのセルを右クリックし、「値フィールドの設定」→「表示形式」から設定できます。
もう一歩進んだピボットテーブル活用術
基本操作をマスターしたら、さらに便利な機能も使ってみましょう。分析の幅がぐっと広がります。
スライサー機能でデータを直感的に絞り込む
スライサーは、フィルタ機能をより直感的で使いやすくしたツールです。項目ごとのボタンが表示され、クリックするだけでデータの絞り込み(フィルタリング)ができます。
ピボットテーブルを選択した状態で、「ピボットテーブル分析」タブ → 「スライサーの挿入」から簡単に追加できます。複数の条件を組み合わせて絞り込むのも簡単で、レポートの閲覧者が直感的に操作できるため、インタラクティブな資料を作成する際に非常に役立ちます。
タイムラインで時系列データを簡単分析
タイムラインは、日付データ専用のスライサーです。年・四半期・月・日といった単位で、期間をスライドバーで指定しながらデータを絞り込むことができます。「先月の売上」「今年の第2四半期のデータ」といった時系列での分析が、驚くほど簡単に行えます。
ピボットグラフで分析結果を可視化する
ピボットテーブルの集計結果は、そのままグラフにすることができます。これを「ピボットグラフ」と呼びます。ピボットテーブルと連動しているため、ピボットテーブルでフィルタをかけたり、行と列を入れ替えたりすると、グラフもリアルタイムで自動的に更新されます。数値だけでは分かりにくい傾向や比較を、視覚的に分かりやすく表現したい場合に最適です。
ピボットテーブルを使う上での注意点
非常に便利なピボットテーブルですが、初心者が陥りがちな注意点が2つあります。これらを覚えておきましょう。
元データの形式を整えておく
ピボットテーブルがうまく作成できない原因のほとんどは、元データの形式にあります。先述の「Step 1: 元になるデータ(リスト)を用意する」で解説したルール(1行目ヘッダー、空白行・列なし、セル結合なし)を徹底することが、成功への一番の近道です。データが汚い(整理されていない)状態では、正しい集計はできません。
データ更新後は「更新」が必要
非常に重要なポイントです。元データリストに新しいデータを追加したり、既存のデータを修正したりしても、ピボットテーブルは自動では更新されません。
元データの変更をピボットテーブルに反映させるには、以下のいずれかの操作が必要です。
- ピボットテーブル内で右クリック → 「更新」を選択する。
- ピボットテーブルを選択した状態で、「ピボットテーブル分析」タブ → 「更新」ボタンをクリックする。
この「更新」作業を忘れると、古いデータのまま分析してしまうことになるため、必ず習慣づけるようにしましょう。
まとめ:ピボットテーブルをマスターしてデータ分析の第一歩を踏み出そう
今回は、Excelのピボットテーブルについて、その概要から具体的な作成手順、便利な活用術までを解説しました。
ピボットテーブルは、決して上級者だけのための機能ではありません。むしろ、複雑な関数に慣れていない初心者の方にこそ、ぜひ使ってほしい機能です。マウス操作主体で直感的に扱えるため、一度基本を覚えてしまえば、あなたのデータ集計・分析作業は劇的に効率化されるはずです。
まずは手元にある簡単なデータで、この記事で紹介した手順を試してみてください。ピボットテーブルという強力な武器を手に入れ、データに基づいた的確な判断ができるビジネスパーソンを目指しましょう。

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