PCのパフォーマンスをさらに引き上げたい。そんな時に検討されるのがオーバークロック (OC) です。CPUやGPUといった主要なパーツの動作クロックを定格よりも高く設定することで、より高速な処理能力を得ることができます。
しかし、オーバークロックを行うには、パーツだけでなく、それを支えるマザーボードも重要な役割を果たします。この記事では、オーバークロックに対応したマザーボードの選び方と、実際の設定におけるポイントについて解説していきます。
オーバークロック対応マザーボードの重要性
すべてのマザーボードがオーバークロックに対応しているわけではありません。特に、ローエンドクラスのマザーボードでは、BIOSの設定項目が限られていたり、電源回路が脆弱であったりするため、安定したオーバークロック動作は期待できません。
オーバークロックに対応したマザーボードを選ぶことの重要性は、主に以下の点にあります。
- BIOSの柔軟性: CPUの倍率やベースクロック、各電圧などを細かく調整できるBIOS設定が用意されていること。
- 強力な電源回路 (VRM): オーバークロックによって増加する電力消費に対応できる、高品質で多フェーズなVRM(電圧レギュレータモジュール)を搭載していること。(前回のVRMに関する記事も参照ください)
- 堅牢な設計と高品質な部品: 高負荷な状態が続くオーバークロック動作に耐えうる、耐久性の高い部品を使用していること。
- 効果的な冷却機構: VRMやチップセットなど、発熱しやすい部分を効率的に冷却するためのヒートシンクなどが搭載されていること。
これらの要素が揃っていることで、安全かつ安定したオーバークロックが可能になり、CPUのポテンシャルを最大限に引き出すことができるのです。
オーバークロック対応マザーボードの選び方:注目すべきポイント
では、実際にオーバークロックに対応したマザーボードを選ぶ際には、どのような点に注目すれば良いのでしょうか?
- チップセット: オーバークロックが比較的容易にできるのは、一般的に上位のチップセットを搭載したマザーボードです。例えば、Intel ZシリーズやAMD Xシリーズなどが該当します。これらのチップセットは、CPUの倍率ロック解除など、オーバークロックに必要な機能をサポートしています。
- VRMの品質とフェーズ数: 前述の通り、VRMはオーバークロック時の安定性に大きく影響します。フェーズ数が多いほど、各フェーズにかかる負荷が分散され、より安定した電力供給が可能になります。また、MOSFETやチョークコイル、コンデンサといった個々の部品の品質も重要です。メーカーの公表しているスペックやレビューなどを参考にすると良いでしょう。
- BIOSの機能: オーバークロックに必要な設定項目(CPU倍率、ベースクロック、各種電圧調整など)が豊富に用意されているか、使いやすいインターフェースであるかを確認しましょう。UEFI BIOSのスクリーンショットやレビュー動画などを参考にすると良いでしょう。
- 冷却機構: VRMやチップセットに大型のヒートシンクが搭載されているか、冷却性能の高い設計になっているかを確認しましょう。特に高クロックを目指す場合は、冷却性能が非常に重要になります。
- 拡張性: オーバークロック以外にも、将来的な拡張性を考慮して、PCIeスロットの数や種類、M.2スロットの数なども確認しておくと良いでしょう。(前回のPCIeに関する記事も参照ください)
これらの要素を総合的に判断して、自分の目指すオーバークロックのレベルや予算に合ったマザーボードを選ぶことが大切です。
オーバークロック設定の基本的な流れと注意点
オーバークロックを行う際の設定は、通常、マザーボードのBIOS(UEFI)画面から行います。基本的な流れと注意点は以下の通りです。
- BIOS(UEFI)に入る: PC起動時に特定のキー(Delキー、F2キーなど、マザーボードによって異なります)を連打してBIOS画面に入ります。
- オーバークロック関連の項目を探す: BIOSのメニューから、CPUの設定やオーバークロックに関する項目を探します。通常、「OC」、「Overclocking」、「Performance」といった名称で用意されています。
- CPU倍率の調整: CPUの動作倍率を上げてクロック周波数を高く設定します。例えば、ベースクロックが100MHzのCPUで、倍率を40に設定すると、動作クロックは4.0GHzになります。
- 電圧の調整: クロック周波数を上げると、CPUがより多くの電力を必要とするため、必要に応じてCPUの動作電圧を調整します。ただし、電圧を上げすぎるとCPUの発熱が急激に増加し、故障の原因となるため、慎重に行う必要があります。
- XMP (Extreme Memory Profile) の設定: メモリのオーバークロックに対応したメモリを使用している場合は、XMPプロファイルを有効にすることで、簡単に定格以上の速度でメモリを動作させることができます。
- 設定を保存して再起動: 設定が終わったら、変更を保存してPCを再起動します。
- 安定性のテスト: オーバークロック後のシステムが安定して動作するかどうかを、ベンチマークソフトや高負荷なゲームなどを長時間実行してテストします。不安定な場合は、クロックや電圧を調整し直します。
オーバークロックを行う際の注意点:
- オーバークロックはCPUやマザーボードの保証対象外となる場合があります。
- 設定を誤ると、システムが起動しなくなったり、パーツが故障したりする可能性があります。
- オーバークロックを行う際は、適切な冷却環境(高性能なCPUクーラーなど)が不可欠です。
- 少しずつ設定を変更し、段階的に安定性を確認しながら進めることが重要です。
オーバークロック成功の鍵:マザーボード以外の要素も重要
オーバークロックを成功させるためには、マザーボードだけでなく、他のパーツの選定も重要です。
- CPU: オーバークロック耐性の高いCPUを選ぶ必要があります。一般的に、末尾に「K」(Intel)や「X」(AMD)が付いたモデルは、倍率ロックが解除されており、オーバークロックに適しています。
- CPUクーラー: 増加するCPUの発熱を効率的に冷却できる、高性能な空冷クーラーや水冷クーラーが必要です。
- メモリ: 高クロックに対応したメモリを選ぶことで、CPUとの連携がスムーズになり、パフォーマンス向上が期待できます。XMPに対応しているかも確認しましょう。
- 電源ユニット: オーバークロックによって増加する消費電力に対応できる、余裕のある容量の電源ユニットを選ぶ必要があります。
これらのパーツと、オーバークロックに対応したマザーボードを組み合わせることで、より高いパフォーマンスを目指すことができます。
まとめ
この記事では、オーバークロックに対応したマザーボードの選び方と、実際の設定におけるポイントについて解説しました。
オーバークロックは、PCの潜在能力を引き出す魅力的な手段ですが、相応のリスクも伴います。適切な知識と準備、そして対応したハードウェアを選ぶことが、安全かつ成功に繋がる鍵となります。
もしあなたがさらなるパフォーマンスを追求したいのであれば、この記事を参考に、オーバークロックに挑戦してみてはいかがでしょうか。


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